概要
研究代表者
高瀬克範(北海道大学大学院文学研究院)
研究協力者
Dagmara Werra (ポーランド科学アカデミー考古学・民族学研究所)
Piotr Wlodarczak (ポーランド科学アカデミー考古学・民族学研究所)
Tomasz Oberc (ポーランド科学アカデミー考古学・民族学研究所)
目的 中央ヨーロッパ新石器時代における黒曜石の利用内容とその目的の解明
内容
現在のポーランドは,石器の原料となるフリントが豊富に分布する地域です。旧石器時代,中石器時代,新石器時代の人々は,そうしたフリントを使って自らの主要な道具である打製石器を製作していました。しかしながら,少数ながら黒曜石も石器時代を通じて利用され続けており,それらは基本的に全てより南のカルパチア山脈で産出したものであることが判明してきています。しかし,フリントが豊富な地域であるにもかかわらず,数百キロも離れた遠隔地からわざわざ黒曜石を運搬し,利用しつづけていた理由はわかっていません。黒曜石製石器が実用的な用途で利用されていたものかどうかも判明していないため,本研究では石器使用痕分析法によって使用の有無や使用方法を解明することを目的とします。遺跡内における分布や黒曜石製石器表面の残滓などのより発展的な研究を行うためには,石器の使用に関わる基礎的な情報が不可欠であるからです。また,本研究では,フリントや黒曜石の先史時代の採掘方法や流通形態を,ヨーロッパと日本列島で比較するための基礎情報の収集も行います。
北海道大学大学院文学研究院とポーランド科学アカデミー考古学・民族学研究所は,学術交流協定を締結しています。本研究では,この協定に基づいて,両機関の研究者や大学院生が相互に訪問しあい,共同で研究を進めます。